第17章 隠された半月、半分の心
頼りない半月は障子の向こうに隠され、視線の逃げ場を失った私は信玄様を見上げる。
頭の中で、これ以上は危険だと警笛が鳴り響く
「どうする?乃々」
月影にぼんやりと白くなった障子を背に、信玄様が笑う。
囁いた声にまで危うい色香が滲み、そのせいで身じろぎが取れなくない
……どうしよう…
今までの人生でこんな色めいた場面に直面したことがない
このまま…突き進めば……そういうことになるんだろう…
その想像はつくけれど……
そうなったところで…別れがくるのは変わらない…
流されるまま…信玄様をこの身体に刻み込んで、私は未来へ帰ることができる…?
「ま…待ってください…!」
「却下だ」
ーーーー!!