第17章 隠された半月、半分の心
日が落ちて、薄闇が辺りを包んだ頃……
信玄はどこか淫靡な雰囲気の漂う部屋で、顔に傷のある一人の男と会っていた
「隠れている鬼を見つけ出すとは、悪趣味の極みだな、信玄」
「身をひそめてるお前を見つけ出すのには、ずいぶんと苦心したよ、顕如」
信玄が肩をすくめ、笑みを浮かべる
「早速本題に入れ、信玄。朽ちた友情を語り合いに来たわけではないだろう」
顕如と呼ばれた男は、冷たい表情を崩すことなく言い放った
「–––ああ」
その言葉を聞いた信玄も、纏う空気をがらりと変える
「本能寺の、夜の話だ。 あの時、信長を殺そうとした犯人はお前だろ、顕如」
「…だとすれば、なんだ」
顕如は信玄を見据え答えた
「単刀直入に言う。顕如、俺と手を組め」
信玄の言葉を聞き、顕如の眼光がひと際鋭くなった。
「お前が、袂を分かった私と同盟とは…焼きが回ったな信玄。」
にやりと笑う顕如に
「お前にとっても悪い話じゃないだろう。方針の違いこそあれ、信長を倒すという悲願に相違ない」
飄々と信玄は答えた
「俺が織田軍を野戦におびき出し、その背後をお前が急襲する」
信玄は、自分が仕掛けた消耗戦で織田の体力が落ちていること
顕如の手勢がいれば、確実に織田軍を圧倒できること
この戦での策を顕如に伝えた