第17章 隠された半月、半分の心
「俺は、あんたと一緒に武田家を再興する。でも…あんたの…幸せも…」
俯向き、どもる幸村
「よせ、幸。散った奴らの思いを忘れるな。–––そうしなければ、刀が鈍る
そんな気持ちで戦に出れば……死ぬぞ」
「……っく……」
唇を噛み締める
「……ありがとな、幸。お前のまっすぐさには、いつも救われるよ」
黙った幸村の頭をポンポンと撫でると
信玄は馬に飛び乗り、駆け出した。
「–––行ってくる」
「…あまり、無茶はしないでください」
叫んだ幸村の言葉に
「それは約束できねえな」
笑って答える信玄の大きな背中を幸村は、いつまでも見送っていた。
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