第17章 隠された半月、半分の心
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乃々と別れ、出立の準備を済ませた信玄は城を出ようとしていた
「御館様。本当にあの男に会うんですか?」
見送りの幸村の言葉を気にする様子もなく、
「そう怖い顔するな。人食い熊に会いにいくわけじゃあるまいし」
軽口を叩く信玄。
「似たようなもんでしょ。罠かもしれませんよ」
そんな信玄の軽口を聞いて、幸村は顔をしかめた。
「俺がおちおち罠にかかる間抜けに見えるか? それに俺には、手段を選んでる暇はない。知ってるだろーーー」
その言葉に耐えかねたように、幸村が信玄の話を遮る