第17章 隠された半月、半分の心
「…犬?」
毛むくじゃらの動物が近づいてきて
「いや。熊だ。子熊さ。」
子熊が信玄様の足下に転がるように纏わり付く
「可愛い…。信玄様が飼ってるんですか?」
「いや…親のいない、こいつを保護しただけだ。」
子熊は親だと思っているのか、信玄様に仕切りに甘えてる
ぬいぐるみみたいな可愛さで笑みが溢れる
「信玄様のこと大好きなんですね。親だと思ってるのかな?」
子熊の頭を撫でると、もっと撫でてと頭を擦り付けてきた
「たぶんなー。でも、そのおかげで少し困ってる」
「え?」
「こいつはいずれ森に帰す。あまり懐きすぎていると、俺には都合が悪いんだ」
そうか…確かに懐かれすぎると別れが辛くなるかも…
「俺もいつまで、こいつと一緒にいられるか分からないから、早く帰してやりたいんだがな…」
その言葉に子熊が自分と重なって見える