第1章 甲斐の虎
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「ふぅ…。」
湯浴みから出ると、そこに壁にもたれた信長様が立っていた
「出たか」
「の、信長様?!」
びっくりして声が裏返る
「信長様も戻られたんですね?…あ!もしかしてお風呂待ちでした?!
すみません…すっかり長湯してしまって…」
慌てふためく私に
「…乃々。少し付き合え」
と歩き出す
「…え…?あ、は…はい。」
信長様の後ろを俯きながら付いて行く
なんだろう…
今は誰とも話したくない…
あの幼い兵の青白い顔が浮かぶ…
部屋に入ると褥の上に信長様が座った
な…なんだか嫌な予感…
「来い。」
「え?!いやぁ…あのぅ……」
信長様に呼ばれ、思わず後ずさる
あんな戦の後でこの人何考えてるのっ?!
「乃々。夜伽の時間だぞ。」
信長様がニヤリと笑いながら近づいて来て、私の頭の中で警報ブザーが鳴り響く。
ひっ!!!!!!
「や!ややややや…!!!!むむむむ無理です!!!!!」
腕を掴まれると、信長様の胸の中に引き寄せられた。