第1章 甲斐の虎
私は家康に抱えられ、一足先にお城に戻ってきた
私のそのただならぬ様子に、秀吉さんが心配そうに駆け寄る
「どうした?!怪我でもしたのか?」
ふるふる…と小さく首を振る
「おい!家康何があった?!」
「初めての戦なんだから、普通にしてられるわけないでしょ」
詰め寄る秀吉さんに、家康が何も言うなと言わんばかりに強い口調で制した
「乃々様…お疲れでしょうから…。今日はもう湯浴みなされてお休みなられたら方が良いですね。」
三成くんが家康から私を受け取ると、優しく肩を抱いてくれる。
その優しさにほっとしながらも、頭の中であの光景が離れない。
「…ありがとう……」
私はそう答えるのが精一杯だった