第15章 歪な月、歪な関係
「情報を集め、駆け引きを行い、相手の心の中に領土を広げていき……最後には征服する
君は俺の領土に入り込んで、情報を手に入れたあとは、どうする気だ?」
「どうする…?」
「君に征服されるなら俺は本望だが――君には、俺に征服される覚悟があるのか」
「征服だなんて……。わ…私は…ただ、最初にここに連れて来られた時は、あなたを敵だと思って警戒してました…。でも…」
さっきの信玄様と違って…なんだか怖い……
「でも…?」
「…今は……ただの敵だとは思えなくなっています。だから…信玄様を…信じるために…少しでも知りたいと思って…ます」
精一杯、伝える声は震えていた
「……悪い子だ。そんな目で男を見るのは…良くない。手加減できなくなるだろう」
信玄様は一気に距離を詰めると、私の手首を掴んだ
「…や……」
「悪いな。俺は君よりも少し大人で、嘘つきなんだ」
そう笑うと、手首に唇を押し当てられる
「…っ!」
身体に甘い痺れが走る
皮膚の薄い部分をなぞるように唇は静かに滑り、艶めいた余韻を残して離れた。