第15章 歪な月、歪な関係
「さて、今宵の月は満月ではないが…」
そう言って、信玄様が立ち上がって障子を開けると
夜空に、欠けた形も月が冴え冴えと浮かんでいた
「欠けていても綺麗です…」
「歪な月も姫と見るなら一興だ。灯りを消してくれるか?」
「はい。」
信玄様の色香を含んだ声に、誘われるまま行燈を消す
「乃々は、本当に手当ての手際がいいな。いつから、医学の道を志してる?」
淡い月に光に照らされた信玄様がそう言いながら、少し離れたところに座った
「そうですね…」
現代では6年医大に通ってたけど…
どうやったら、疑われずに説明できるかな?
少し考えて、口を開く
「叔父が…医者をやっていたので…その影響ですかね?」
「父上じゃなくてか?」
信玄様が何気なく聞いた