第15章 歪な月、歪な関係
慌ててその横顔から目をそらして
「薬塗りますっ」
薬の器に視線をうつした
傷口に薬を塗って、布を巻いていく
「俺の御典医ってことは、傷が治るまで君が診てくれるってことでいいかな」
あ、そうか…
自分で言った手前、そういうことになるかな
「そう…いうことになりますね。」
巻き終わりを縛りながら、答える
「では、毎日君に会える口実ができたってことか」
嬉しそうに笑う信玄様が可愛く思え、つられて私も笑う
「やはり、君は笑っている方がいいな。」
「そんなこと言われると笑いづらくなるので、そうゆうのは禁止です」
「また君の笑顔を見られなくなるのは、寂しいからやめておこう。」
恥ずかしさを誤魔化すのにそっぽを向くと、真面目な顔で信玄様が答えた
それがまた可笑しくて、笑ってしまう