第15章 歪な月、歪な関係
あの時は無我夢中だったから、気づかなかったけど…
さすが…男らしい腕だな
たくましい腕に思わずドキドキする
「じゃあ…診ますね」
湯浴みしたみたいだから、傷に汚れはなさそう。
これなら消毒して薬塗れば大丈夫かな
縫合するほど深い傷じゃなくて良かった…
傷の程度に安心はしたけど、自分のせいだと思うとやっぱり胸が痛い
焼酎を布に染み込ませ
「少し滲みると思いますが、我慢してください」
傷口に布を当てると、信玄様の身体が小さく動いた
「ごめんなさい。滲みました?」
思わず、信玄様の顔を覗き込む
「…大丈夫だ。君の手が触れて胸が高鳴っただけだ」
色っぽく笑う瞳に、私の胸の方が高鳴った