第14章 戦の跡
結局、謙信様の我がままに付き合う幸村を笑って見送る
「じゃ、僕は女中さんたちにも伝えてきますね。乃々さんも是非参加して」
「え?私なんか行っていいの?」
前回も参加させてもらったのに、人質の私なんか参加していいのかな
迷惑も掛けちゃったし
「もちろんだよ。乃々さんのこと、春日山の人たちも好意を寄せてるから」
佐助くんの言葉になんだか嬉しくなった
織田側の人間の私が喜ぶなんて…可笑しいよね
「そうですよー。乃々様は人気者です。このまま…謙信様に嫁いで……」
「やだー。鈴ちゃん」
「何?鈴、今なんて言った」
鈴ちゃんの冗談に私が笑うと、信玄様が割って入ってくる
「信玄様、知らないんですか?春日山の家臣の間じゃ、乃々様を謙信様の側室にって話しまででてるんですよー」
鈴ちゃんが意地悪な顔で信玄様に言うと、突然グイッと腰を信玄様に引き寄せられた
「乃々。月見の約束忘れてないな?」
「えっ?あ、はい」
「じゃあ今夜行く。」
少し不機嫌になった信玄様は、それだけ言うと私を離してお城に向かって行った