第14章 戦の跡
謙信様って本気で怒ってるのか、そうじゃないのか本当に分からない
この人は信玄様より何考えてるか分からないな…
「謙信様、拗ねるのはその辺にして下さい。乃々さんが怯えてます」
今にも本気で斬りかかりそうな謙信様を見てハラハラしてると、佐助くんが淡々と謙信様をなだめる
「俺は拗ねてなどいない」
「はいはい。わかってます。そうだ、皆の無事を祝って宴でも開くのはどうです?実は、謙信様好みのいいお酒が手に入ったんです」
「……ふん…まあ良いだろう。宴とは悪くない提案だ。せめて信長との戦の話をつまみに、盃を傾けるとするか」
謙信様の表情が和らぐと満足気に笑みを浮かべた
「じゃ、俺から家臣の皆さんに声かけておきますね」
佐助くん…凄い
「…さすが佐助。謙信様の扱いが玄人の域だ」
感心する私の横で、幸村がボソッと呟く
「宴なさるなら、また忙しくなりますね!」
鈴ちゃんは、今起きたことに動じる様子もなくはりきって腕をまくる
鈴ちゃん…このやり取りを見て動じないなんて…もしかしてこれが日常なの?
「謙信。今日は皆疲れてるから、宴は明日でいいな」
「あぁ、別に構わん」
「さて、じゃあ俺はひとまず湯浴みでもして…」
「おい幸村。鍛錬に付き合え。」
「はぁーーー?だから、俺、今帰ってきたばっかりなんですけど?分かってますよね?」
「知らん。」
「佐助とやればいいじゃないですか!」
「あいつとは昨日も一昨日もした」
「だぁーーーー!!もう、あんた駄々っ子かよ!!」
文句を言いながらも、謙信様と一緒に城に向かう幸村