第14章 戦の跡
「…ちょっと安心したくせに」
「え?」
「戯け、佐助。斬るぞ」
「おいおい謙信。帰って早々物騒だなー」
ボソッと呟く佐助くんに謙信様が刀に手をかけると、信玄様が間に入った。
すると、謙信様の目が鋭く細められ、眼にも止まらぬ速さで抜き放たれた刀が信玄様に振り落とされた
「…っと。あぶねーなー」
信玄様が振り落とされた刀を、自分の太刀の峰で受け止める
な…謙信様って本当に何考えてんのっ?
唖然と見つめる私。
「俺をさしおいて、信長と家康との殺し合いを愉しんだらしいな。またいつものつまらん戦だと聞いていたから、同行しなかったものを……」
「おいおい、誤解だ。」
刀を受け止めた、信玄様がこの状況でも笑ってる
「いや、別に今回も互いに全面衝突しない戦だったから、謙信様がいても邪魔–––」
「この腑抜けどもが」
謙信様は幸村の言葉を遮り、形の良い眉をひそめた