第14章 戦の跡
どうにか話しを逸らそうと考えると、小袖の袷(あわせ)に入れた袋に気づく
錯乱した時に、信玄様がくれたお守り
昨日、返すの忘れてたな
それを袷から取り出して、幸村に見せた
話しを逸らすためもあるけど、この袋がなんなのかも気になった
「…そう言えば…幸村これって何か分かる?」
「これ?信玄様の火打ち袋じゃねーか。」
「火打ち袋?」
「あぁ。中に火打ち石が入ってんだ。」
袋の中の固い物は、石だったんだ
「お前…これ渡されたのか?」
「うん。お守りだからって」
「そうか…。戦に行く時はお守りとして必ず家伝の火打ち袋を持ってくんだ。俺もーーーーほら。」
そう言って、幸村が自分の火打ち袋を見せてくれた
「昔話でよ、ヤマトタケルノミコトが、火打ち石のおかげで戦の難を逃がれたって話があんだよ。だから生きて帰るために戦に行く奴らは、お守りとして持ってくんだ」
生きて帰るため…
そんな大切な物を私に貸してくれたんだ