第14章 戦の跡
私…そんな顔してる?
逃げたはずの距離が、少しずつ詰められて
「俺を心配する顔…無事だと安心したときの顔……
そして…俺に触れられ、その感情をすぐに顔を出す…
君は…あまりに無自覚で…一つずつ、君の魅力を教えたくなるな」
信玄様のひときわ甘い声に心が揺さぶられる
「も、もういいですからっ!!本当にふざけないでください!!」
「ははっ。怒った顔もまた可愛い…」
この人は私の気持ちを分かって、からかってるんだろうか?
「じゃ、行こうか。」
信玄様が楽しげに、私の手をとり天幕へ向かう
城下でのデートで繋いだ手。
繋いだ手を離した時に、もう繋がれることが永遠にないような気がしていたのに…
信玄様はいとも簡単に、私の手を再び絡めとる
同時に私の心も絡めとり、簡単には離してくれない…