第13章 戦の駒
「俺が死にそうな時は、ぜひ君に看取ってほしいものだな。こんなに強く美しい君と一緒なら、死も怖くなさそうだ。」
「…なぜ?急にそんなこと言うんですか?」
「…なぜかな?君の美しさに、心が惑わされたか?」
人が心配してるのに、こんな時までふざけて…
「…誰にでもそんなことばかり言ってると、いつか女子に刺されますよ!」
「最近は、言ってない」
え…?
不意に真顔になった信玄様に、息が止まる
「さて!美女に手当てしてもらって、俄然、やる気が出てきたな。乃々、手当てありがとう。また…あとで…」
頰から手が離れると、信玄様は馬に飛び乗り颯爽と駆けて行ってしまった
「…どうか…ご無事で……」
信玄様に渡された、袋を握りしめそう祈るしかなかった