第13章 戦の駒
「応急処置はしました。血は止まっていますが、無理をすればまた傷が開きます。…どうか無理をしないでください」
信玄様が驚いたように口を開いた
「君は…本当に掴めないな。か弱い女子のかとおもえば、毅然として凛々しくも見える。医学を志していたとは本当だったようだな」
「この傷を手当てしたのは私です。ですので、この傷に関しては私が貴方の御典医です。戦が終わったら、もう一度ちゃんと傷を見せてください。」
信玄様が甲冑を着直す手伝いをしながら、私は精一杯の思いを伝えた
だから…
だから…どうか無事で帰ってきて……
「…君みたいな強い女子は見たことがない。」
信玄様が目を細める
「強くなんかありません…こんな弱虫じゃ、医者失格です」
「それでも君は…その志を捨てることはないだろう?」
「…はい。私にも人を救いたいという信念がありますから」
ふっ…
信玄様が不意に笑い、私の頬を撫でた