第13章 戦の駒
「…戦場は幸に任せてきたから、少し持つだろう。その間に君を安全なところまで連れていく。」
馬を走らせながら淡々と説明する信玄様
どうして…危険を犯してまで助けてくれたんだろう…
私は敵の姫だ…
あの場で私が死んだとしても、情報戦の得意な信玄様だったら上手く利用できたはず
それともまだ戦の駒として利用するつもりなの…?
「荒い道のりだが、心配するな。君を落としたりしない。君は、俺の背中だけみていろ」
信玄様の言葉に、今は素直になるしかなかった
「…ありがとうございます」
私はそっと大きな背中に寄り添った