第13章 戦の駒
苦痛の声に、私と矢の間に飛び込んだ人の顔を見ると
「信玄様っ!!!!」
肩口を押さえ、痛みに顔を歪ませる信玄様がいた
「…何をやってるんだ!!矢面に躍り出るとは、死ぬ気か!!!命を粗末にするな!!!」
「…ごめ…ごめんなさい……」
信玄様の肩から流れる血を見て呆然とする
「それより来いっ。ここを離れるぞ!!」
信玄様が足早に私の手を引き、少し離れた場所に置いた馬に私を乗せた
信玄様も怪我をもろともせず、ひらりと馬に跨る
「…飛ばすぞ。しっかり掴まれ。」
「…はいっ」
「今度は逃げてくれるな」
そう言って、馬を走らせた
しがみつく背中に目をやると、肩口から血が流れる
ギュウッ
その傷を見て心臓が締め付けられた