第13章 戦の駒
「…家康っーーー!!!」
戦の中心から、少し離れたところから家康を呼ぶ。
だけど居たように見えた家康の姿は見えない。
両軍がぶつかる場所を避けて、遠巻きに見てたはずなのに…
めまぐるしく動く戦況が徐々に私の行手を阻む
どうしよう…
このまま…織田軍の陣営まで行く?!
それとも…信玄様の元へ戻る?
どちらに行けばいいか分からなくなり、気だけが焦る
周りは煙と血の匂いが漂うーーー
…っは……は…ぁ……
恐怖でフラッシュバックが起きそうになるのを
信玄様から渡されたお守りを握りしめ
どうにか正気を保つ
ヒィヒィッーーーーーーーーーンッッ!!!!
その時!乗っていた馬の脚に、放たれた矢が掠め
「…っあ!!!」
驚き後ろ脚で立った馬から転げ落ちた