第13章 戦の駒
「ーーー幸!!」
「ここに」
信玄様が幸村に矢継ぎ早に指示を出す
「信長は少数の機動力を生かしてかき回すつもりだ。左右から囲い込んで封じ込めろ。ただし、別動隊もいるとみるべきだ。後方に兵を温存し、二度目の奇襲に備えるように」
「はっ!!」
幸村も武将の顔をしている
すぐさま馬に飛び乗り駆けて行く幸村に
「幸村!!無事でっ!!!」
思わず叫ぶ
幸村が驚いたように一瞬振り向くと、
おう!
と言わんばかりに片手で十文字槍を掲げた
幸村っ…
織田の敵の武将の無事を祈るなんて、可笑しいのかもしれない
でも…私にとっては…もう幸村も信玄様もみんな大切な人たちだ…