第13章 戦の駒
「乃々…あの時…何かあったのか…」
信玄様が私と出会った戦のこと思い出し、何か察したように私を抱きしめた
冷たい甲冑が頬に当たる
「すまない…。お前をこんなところに引っ張り出して…!」
信玄様の声は私には聞こえない
私に聞こえるのは、救えなかった彼への自責の念だけ
「…誰も…救え…な…いの……」
「ごめんなさい…ごめん…なさい…」
うわ言のように両手を見つめ呟く私
信玄様がいまだ小刻みに震える私をさらに強く抱きしめると…
「乃々っ…」
「……っん!」
信玄様が耐えかねたように、突然私に口づけをした