第13章 戦の駒
武田軍の野営地で、私は夜を越すための支度をしてる兵を眺めていた
もう少しで戦が始まるのかな…
家康について、救護にあたった時の戦のことを思い出す。
すると脳裏に浮かんだのは、救えなかったあの若い兵の姿…
忘れていたあの出来事がフラッシュバックのように、あの時のことが思いだされる
脚から流れる大量の真っ赤な血
苦悶に歪み
青白くなっていくあどけない顔
そして…置き去りにした自分…
「……あ………。」
身体が震えだし
だんだん血の気が引いてきて
背中には変な汗が流れる
呼吸が荒くなっていくのがわかった