第13章 戦の駒
それから二日後
戦への出立の日が来た
私は、武田の兵が引く馬に乗っていた
周りを屈強な騎馬隊に囲まれている
「あれが信長の寵姫か?」
「武田の騎馬隊が守ってるからそうだろ」
「あの姫を信長様が血眼になって探していたらしい」
「いよいよ武田と戦か」
道の端で見物してる農民たちの声が聞こえる
こんなとこまで、私が信長様の寵姫だって噂が広まってる
これも信玄様の情報作戦のせいか…
「乃々。大丈夫か?」
「うん…。」
前を行く幸村が声をかけられ頷くけれど…
大声で『私は信長様の寵姫じゃない!!』って叫べたら、どんなに楽だろう…
「…お前。変なこと考えんなよ」
幸村に言われて、ビクッとする
「な、何もしないよ!」
「あ、信玄様」
「…!」
馬に乗った信玄様が後方から駆け上がってきて私に並ぶ