第13章 戦の駒
「…いまだ、武田家再興を願ってる家臣がいる限りあいつは戦うだろう…。残された時間の限りな……」
残された時間……?
「それって…」
「逃げるのなら行け。あっちへ行けば、裏からでも出られる」
問いかけようとした、私の言葉を遮って謙信様は城へ戻って行った
謙信様は信玄様の思いを分かってほしんだろう…
だから私にあんな話しをしたんだ
私だって、頭では…信玄様の思いを分かってあげたいと思ってる…
でも…信長様たちの思いも知ってるから…
どうしてだろう?
みんな、平和な世の中を望んでるのは同じなのに…
どうして思いがすれ違ってしまうんだろう……
私は逃げることもできず、ただ黙って池にうつる自分を見つめた