第12章 恋の病
「…の、乃々っ!?」
片手を胸にあて、眉に皺を寄せた信玄様と目が合った
「…?!信玄様っ!!!どうしたんですか!!!」
急いで駆け寄り、顔を覗き込む。
「どこか痛みますか?」
「ーーーーの、乃々……」
「はいっ???」
「……実は……」
「信玄様…」
背中をさすりながら、苦しそうな信玄様に泣きそうになる
「ーーーー君を想うと胸が苦しいんだ…。これは…恋の病か?…どうか…君の口づけで治してくれないか?」
「…へっ?!」
グイッと手を引かれると、信玄様の顔が近づけられる
「!!!し、信玄様!!!」
「あはは。すまんすまん。ちょっと饅頭を喉につかえてしまってな」
近づけられた顔を押し返すと、信玄様が笑いながら私を解放した
「もう!!人が本気で心配してるのに!!」
「しかし、美女自ら出向いてくれるとは嬉しいな。一体どういう風の吹き回しだ?」
「借りていた手拭いを返しにきたのと、匂い袋のお礼に来ただけです!!」
にやにや笑いの信玄様に手拭いを押し付ける
「おや…乃々の香りがするな。これで、いつも乃々を感じろということか?」
信玄様が再びグイッと顔を近づけた。