第11章 城下の逢瀬
「…すまない。柄にもなく昔話ししてしまったな。君の瞳のせいかな。」
そう言うと、信玄様はいつもの調子に戻っていた
だけどその瞳の奥には哀しみが滲んでるように見えて…
「つらくないですか…?」
思わず口に出してしまっていた
「ん?」
「そんなふうに、感情を隠して笑うのは…」
いつも
ふざけて
女垂らしで
私の心を弄んで
でもどこか
悲しげで
寂しげで
儚げで
決して本心を見せてはくれないけど…
きっと…誰よりも自分の国を民を…仲間を…愛してたんだ……
本当は…
本当は……
誰よりも声をあげて泣きたいんじゃないんだろうか……