第11章 城下の逢瀬
「……君は時々、驚くほど聡いことを言う。つらいと思ったことはない。どんな目に遭っても、俺を信じる奴らがいる限りな」
その言葉にはっとした
この人は私なんかが思ってる以上に、ものすごく強い人なんだ。だから、苦しいことや悲しいことを背負っても、それが当たり前だと笑っていられる
そのことに気づいた瞬間、自分が勝手に同情したことが申し訳なくなった。
「そんな風に心配してくれて、君が俺に惚れたんじゃないかと勘違いしそうだ」
その一言に私の心臓がドクンッと高鳴る
「…ま、まさか…変なこと言わないでください」
「はは。すまんすまん。」
笑う信玄様に、それ以上返す言葉は見つからなかった。
「さて…と。冷えてきたな…。そろそろ戻るか…」
そう言って手綱を握り、馬を歩き出させる。
初めて信玄様の本心に触れた気がした
私を支える信玄様の片腕が、行く時よりほんの少し強く感じたのは気のせいか……