第11章 城下の逢瀬
そこからは春日山の城下が一望できた
夜の闇の中に城下町の明かりがぼんやり浮かんでいて、幻想的見える
「綺麗ですね」
現代で見るキラキラした明るいネオン街よりも、提灯の灯りで照らされている町の方が儚げで美しく見える
「ここから見る景色が好きなんだ」
「他の女の子も、口説くのに連れてくるんですか?」
こんなところに連れてこられた女の子はイチコロだろうな
「確かにここに女子を連れてくれば、言葉などなくても絆せるだろうな。」
私の悪戯にも嫉妬にもとれるような言葉を、『ははは』と笑って返す信玄様は余裕だ
「でも残念ながら、ここは俺のお気に入りでね。ここに誰かを連れてくることはないよ」
嘘でもその言葉が嬉しくなってしまう