第11章 城下の逢瀬
店を出ると、信玄様に買ったばかりの匂い袋を手渡された
「さ、受け取って。君へのお詫びのしるしだ」
「…でも……」
「主人も言ってたろ。受け取ってくれ。」
そう言って、私に匂い袋を握らせるとまた手を引いて歩き出す
それから反物屋やうどん屋など町を探索し、夜も更けたところで城へ帰ることにした
その間、当たり前のように繋がれていた手
その手が解かれると…永遠に繋がれることがないような気がして…
寂しさに襲われた
帰り道の途中、信玄様が馬を脇道へ誘導した
「どこへ行くんですか?」
「少し寄り道しようか。」
見上げた信玄様は、真っ直ぐ前を見てる
馬を歩かせると、少し開けたところで馬を止めた