第11章 城下の逢瀬
「こ、ここここ恋仲?!」
揶揄う主人に顔が真っ赤になって、鶏みたいに吃る私。
「なんだなんだ。随分楽しそうだな〜。」
主人とやりとりしてると、店の手伝いと話していた信玄様がやってきた。
「そんな楽しそうにしてると、妬けるな〜」
「おや。こっちもやきもち妬いてるとは…」
「こっちも?」
信玄様が不思議な顔して、主人と私を見比べる
「な…なんでもありません!」
「信さん。お嬢さんがこの匂い袋気に入ったようだよ」
主人は私の反応を楽しそうに見ながら、煉瓦色の匂い袋を信玄様に見せた
受け取った小袋を香る信玄様。
「白檀か。じゃあそれを貰おう。」
「え!!でも…」
これって高いんじゃ…
「お嬢さん。男に恥かかせちゃ無粋ってもんだよ」
遠慮しようとした私を主人が制すると、信玄様からお代を受け取る
「商売上手だなぁ〜。」
信玄様が笑いながら、匂い袋を受け取ると「また来るよ」そう言って店を出た