第11章 城下の逢瀬
「乃々。小間物屋に入ってみるか?」
「あ、はい。」
信玄様に連れられて店に入ると
可愛い簪や櫛、組紐など日用品たくさん並ぶ
女心をくすぐる、可愛い小物に目が奪われ
見たことないものもあって、見てるだけで楽しい。
ふ、と並んだ小物の中に、可愛い布の小袋が目に入る
「これは…?」
小さな小袋を手に取ると、フワッといい香りが鼻先をくすぐった
「匂い袋か?」
信玄様に言われ、小袋を鼻に近づける
「いい香り……」
「お嬢さん、こっちにもあるから良かったら。」
呟いた私に店の主人が、店の奥の方へ連れて行くと小さな籠を数個見せてくれた。
「こっちから順に、白檀、丁字、桂皮、龍脳、大茴香だよ。」
色とりどりの布に入った小袋を順に香ってみる
「…これは…シナモ……桂皮?」
手にとった小袋から、嗅ぎ慣れたシナモンの香りがする
次に煉瓦色の布に入った小袋を手に取ると
爽やかな甘い香りが広がった
「お嬢さん。それは白檀だよ。」
「白檀?これが?すごくいい香りですね」
白檀って現代でも聞いたことある。
確か高価な物だったはず