第9章 掴めない心
「佐助。ご苦労だったな。安土に潜り込むのは大変だったろう。」
「まぁ、最初は警備の隙を見つけるのに苦労しましたが、最近は天井裏からちょちょいのちょいです」
大した男だ
どれ…こやつの慌てた顔でも見てみたいものだ
「時に、佐助」
「なんですか、信玄様」
「乃々の部屋の天井裏に忍び込み、着替えなど見てないだろうな」
「……見てないです。信玄様じゃないんですから。」
無表情でも呆れ顔って分かるんだな。
こいつはこれくらいじゃ、やっぱり動揺しねぇか。
「わかってないな、お前は。俺は、女の子が自分から見せてくれるようになるまで待つんだ。」
「なるほど。さすが説得力がありますね。今後の参考に頭の片隅に置いておきます」
淡々と頷く佐助の横で、幸村が耳を赤く染めてる
「………っ、くだらねー話、はじめないでもらえますか」
動揺したのは、こっちだったか
幸は揶揄いがあるな
「幸、このくらいで顔を赤くしたら、いつまでたってもいい女を捕まえられないぞ」
「余計なお世話です。」
「そうだ。いつまで女の話などしてるつもりだ」
…謙信もいい加減、女嫌い治せばいいのにな