第8章 未来への帰り道
去ってゆく二人を見送ると、佐助くんが声をかけた。
「乃々さん、ちょうど良かった。話したいことがあったんだ。」
「え?何?」
「ワームホールのことなんだけど…。」
ワームホール!!
色んなことがありすぎて、すっかり忘れてた…
「実は、ワームホールの次の出現する日時が計算できたんだ。」
この人…本当に凄い!
ノーベル賞取れちゃうよ!!
「それで?!いつなの?」
「僕の計算によれば、二月後(ふたつきご)の本能寺だ。」
二月後には現代に帰れる!!!
「ここから本能寺まで距離があるから、数日前には出発する予定だよ。
こう言っちゃなんだけど、乃々さんがさらわれて良かったよ。春日山城にいればすぐに連れ出せるからね」
そっか。
確かに安土にいたんじゃ、佐助くんは敵国の忍びになる
私を連れ出すのにも大変だろう…
これは不幸中の幸いかも!
「うん!佐助くん一緒に未来へ帰ろうね!!」
ふた月頑張れば500年後に戻れるんだ!
叔父さんにも会えるし、また医師の道へ戻れる!!
「そうだね。乃々さん。一緒に未来へ帰ろう。」
そう言って笑う佐助くんに、少し陰りがあることに私は気付いてなかった