第7章 満月に浮雲
そして、コホンッ…と一つ咳をして、この微妙な空気を変えるように話す
「それにしても、さっきの技は見事だったな!」
私がした、ハイムリック法のことをいってるのだろう
「下手に指を突っ込むと、異物がさらに奥にいってしまう可能性がありますから…
あの方法が最善策だと思っただけです。
失礼だとは思いましたが…すみません……」
「謝ることなんてないさ。
俺は感心してるんだよ。君は本当に医学に携わっていたんだな。と思って」
そんな話しをしてると、月明かりで照らされる信玄様の横顔が格好良くて見惚れてしまう
信玄様って現代にいたら、絶対モデルになれるだろうなぁ…
横顔を盗み見してると信玄様と目が合い
恥ずかしくなって慌てて目を逸らした
「乃々…君は本当に不思議な女子だな…。
さっきは謙信に臆することなく凛としたと思ったら、今は汚れも知らない天女のような顔をする…」
私にしたら信玄様の方が謎だらけだけど…