第6章 宴にて
老臣と若い家臣を見送り…
さっき自分がしたことを思い出す
ヤバイ…
謙信様…多分…嫌…相当怒ってるよね?
こ、怖すぎて振り返れない……
その場の空気もシンと静まり返っている
その静寂の中、
「おい。女。」
謙信様の声が響いた
ビクッ!!!
肩が上がる!!!
恐る恐る振り返り、謙信様の方を見ると
色違いの冷たい瞳がが私を見つめる
ど、どうしよう…
と、とりあえず謝る???
「あ…あ…の……」
「杯を出せ」
「え?!」
言いかけた言葉を予想外の言葉に遮られ、思わず素っ頓狂な声が出る
佐助くんがすかさず私のそばに来て、私に杯を手渡すと
謙信様の前に連れて行く
謙信様の持っていた徳利から、酒が私の杯に注がれる
「????」
「今宵は無礼講だ。飲みなおすぞ」
意味がわからず、謙信様を見るけど
謙信様は何も語らず家臣たちに一言うと、違う卓へ行ってしまった
「乃々さんすごいね!!」
「お前、さすが信長の女だな!」
佐助くんが小さく拍手して、幸村が関心する
「違いますから!!」
幸村の言葉だけはすかさず否定した。
ひとまずお咎めなしってことかな??
ほっとすると
「…っつ……」
右手の親指の付け根に痛みが走る
見ると血が滲んでいた
あ、さっき謙信様の刀を払った時に切っちゃったかな?
無我夢中だったから全然気づかなかった
着物汚しちゃ大変だし、とりあえずを手を洗わなくっちゃ
鈴ちゃん探して包帯、借りよう
謙信様の無礼講の合図で広間はまた盛り上がっていた
そっと広間を出た私は、手を洗える場所を探す