第6章 宴にて
「け…謙信様…」
周りにいる家臣たちも身動き出来ずに、私と謙信様を見つめる
「謙信っ!!!」
信玄様の謙信様を止める声が聞こえる
それでも白刃は私を捕らえたままだ
刀の重みが肩から伝わる…
腕の中には顔色がさらに悪くなる年老いた家臣
もう…一刻の猶予もない!!!
「刀を…刀を納めてくださいっ!」
声が震える…
「見て分かりませんか?!
今は一刻の猶予もないんです!!
あなたの大切な家臣が苦しんでるんですよ!!!!
私を斬るのなら、この人を助けた後にお斬り下さい!!!」
思うよりも、口と手が動いていた
返事を待たずに謙信様の刀を肩から払うと
老臣の脇の下に両手を回し、上腹部と胸部をきつく締め上げる
そして一気に自分方へ引きつけるように圧迫して突き上げる
お願い!!吐いて!!!
数回繰り返すと
「…ぐっ……ぐぅぉ……ほっ………!!!!」
老臣の口から丸い里芋の煮物が転がりでてきた
「…はっ……はぁ…はぁ…」
呼吸を繰り返す
あ…よか…良かった……!!
「だ、大丈夫ですか?!」
「…は…はぁぁ…死ぬかと……」
「ちょっと失礼しますね」
老臣の背中をさすったあと、腹部を手で押して触診する
「どこか痛いところないですか?」
「だ、大丈夫です」
どこか内臓が傷ついていないか確認すると、手当てをしてるのが私だと気づいた老臣が狼狽た
異常がないか確認すると、別の家臣の人から受け取った水を手渡す。
「さ、お水飲んで下さい」
「ひ…姫様…」
「大事に至らなくて良かったです。
ですが、今日はもう休まれた方が宜しいかと…。どなたか、この方をお部屋へお連れしてもらえませんか?」
「拙者が!!」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
申し訳なさそうにしている老臣に笑顔を向けると、名乗り出てくれた若い家臣に頭を下げ、老臣をあずけた