第6章 宴にて
御膳が倒れた方を見ると、初老の家臣の一人が倒れていた
喉に手をやりもがいている
その姿に周りの家臣たちが慌てる
「どうしたのだ?」
「大丈夫か?!」
「何か詰まらせたようだ!!」
苦しそうにもがく家臣
気道閉塞だわ!!
「どら!!口を開けろ」
一人が倒れた家臣の口を開けて、指を入れようとする
ダメ!!
異物がさらに押し込まれちゃうかも!!
「やめてください!!!離れて!!!」
咄嗟に私は大きな声で制止すると、動きずらい打ち掛けを引きずり倒れた家臣へ駆け寄る
私の姿に呆気にとられる家臣たち
「大丈夫ですか?」
倒れた家臣に声をかけるが反応が鈍い、顔色が悪くなってきてる
まずいチアノーゼを起こしかけてる
早く異物を取り除かないと…
家臣を起こして背中から手を回す
すると後ろでスラッ…っと擦れる金属音が聞こえ
私の顔の真横に妖艶に光る刃…
「動くな…貴様…何をする気だ?」
冷たく低い謙信様の声
その声に感じる殺気
ゾクリ…
恐怖が襲う…