第6章 宴にて
一瞬で広間は静まり、皆頭を下げる
謙信様が上座に座り、信玄様も横に座る
「みな、遠慮せずに飲め。」
謙信様が言葉少なめに言うと
さっきまで私に突き刺さっていた視線なんてどこへ行ったのか
みんな一斉に飲み始めた
良かった…
みんなお酒に夢中で私のことなんて、目に入ってない
ほっと安堵する
ただ一人、私を楽しそうに眺める人物に気づかずに…
「乃々さんは飲めるの?」
佐助くんの隣でお酌されると、ひと口口をつける。
「あんまり飲み会とか行ったことないからどうかな?」
「そうか…乃々さんは医学を学んでたって聞いたけど、医学部だったの?」
「うん。もう少しでインターンが始まるんだったんだけど…ここに飛ばされちゃって」
「もしかしてストレートで?」
「あ、まあね。叔父が医者で…小さい頃から憧れてたから。」
「凄い」
「でも佐助くんの研究の方がすごいよ!タイムスリップの研究なんて…!」
2人で話しているところへ、幸村が割って入ってきた
「お前らいつの間にそんな仲良くなったんだ?
佐助!お前…そんなに乃々と仲良くすると、謙信様に怒られるぞー」
「謙信様はそんな器の小さい人ではない。」
幸村に突かれ、無表情で答える佐助くん
「お前…その無表情やめろよ。人形と話してる気分になんだよなー。」
確かに佐助くんって表情が…乏しい?かも
「乃々。お前もそんな格好して、まさか…織田の次は…春日山の連中を手玉に……」
「とりません!!」
幸村の言葉をピシャリとはねつけた