第4章 最終修練
「────俺だって忍だ
君の5代目への絶対的な忠誠心は分かる
その想いを大切にしてやりたいとも思ってる
だからこそこの任務に志願した、というのもあるんだ、だが
君の気持ちを知ってしまった以上…俺を想ってくれていたと知ってしまった以上…俺は、もう抑えきれない!
君を、任務の為とはいえ他の男に…っ、触れさせたくない!」
真っ直ぐに見据えられて力強い言葉を告げられる
途端に、頬が熱くなる
『カカシさん…』
嬉しい
例えこの先の人生もう苦難しかないとしても。
この瞬間に、命が尽きてしまったとしても…もう悔いはないと思える程にしあわせな言葉だ
ふいっとカカシさんの手が私の口元を塞いだ
「何も言わないで
君が綱手様に忠実に在りたいことは分かってる
だから…少しだけ俺にも足掻くチャンスが欲しい」
屈み込み、すっと顔が近づいて来た
顔を上げたその瞬間、自分の口元の覆面を引き下げたカカシさんに口付けられた
『…っ…』
一瞬触れ合って顔が離される
目の前には、通った鼻筋と整った口元
誰にも見せないカカシさんの、素顔
……また見せてくれた
「俺の、本当の恋人に…なってくれる?」
息のかかる距離で甘く囁かれて、私は笑顔で頷いた
そしてどちらからともなく引き寄せられると、また深く唇を合わせていく
触れては離れ、また深く探られながら…角度を変え、何度も何度も私達はキスを繰り返した
「本当はずっと…っこう、したかった」
切ない声で言われて、涙が溢れてくる
(私も、です)
この半月、身体だけは互いに触れあわせて来たけれどキスは…特別だった
なんというか
『かかしさんの気持ちが…伝わって…来るみたい、です』
頬に伝わる涙を指先で絡め取られ、愛おしむような甘い視線を向けられる
「泣いてるの?」
唇を優しく啄ばまれ、涙の伝う頬にキスを落とされた
「ごめんね
…だってこんなキスしたら、俺が君の事好きだってバレバレ、でしょ?
…だからしなかった
キスしたら、俺もこれ以上気持ちを抑え込む自信もなかったんだよ」
何度も唇を啄ばみながら、カカシさんが甘く囁く
「大好きだよ」