第21章 それぞれの道へ
「俺も最初は驚いたさ。だが真っ直ぐな目をしていてな、俺を見ても驚くどころか逆に喜んでたな」
「だって、まさかこの世界に来れるなんて、思いもしなかったんだもの」
「お元気になられて、よかったですね」
○○の言葉に微笑む松代。
「しかし本当に言い伝えが実現するとはな。しかも俺の息子がそれを成し遂げてくれた。父さんは鼻が高いぞ」
「へへーん。やればできる子なんですー」
おそ松の仲間たちを見渡した松蔵は、首をかしげた。
「閉目の可視者はどこだ?」
「俺です。元レッドアイ族の、カラ松といいます」
「目を開いているぞ?」
「はい。ゴールドドラゴンに頼んだんです。目を開いても物を焼き尽くさないように」
「ほう、そうか」
「神の遣わし導き子はどちら?」
「はい」
一人一人確かめては感心する二人。
「それで、みんなはこれからどうするんだね?」
「俺は○○と一緒に、ここに住みたいと思っています」
「僕はケイトと一緒に城に戻って、森エルフ王になります」
「僕はポリアフと一緒に、精霊族の街に戻ります」
「俺は……まだ決めてません」
「いっち…」
「トド子はどうしたい?」
「私は、いっちについていくわ。だって、いっちの妻だもん。でもその前に、チョロ松とケイトちゃん、十四松とポリアフちゃんを送り届けないとね」
「えっ。いいよ、そんなの」
「そうだよ。また歩いて行くから」
「いいじゃん。トド子がそうしたいって言ってんだし」
「一松…」
「一松兄さん、ありがとう」
そう言って十四松が、あっと声をあげた。
「カラ松兄さんの家、みんなで建てようよ!」
「おっ、いいね!」
「いいのか?!」
「いいって、いいって!」
おそ松たちや集落の男たちの協力のおかげで、その日のうちにカラ松と○○の家が建った。
「すまない、ブラザーたち」
「いいって。ただしその代わり、○○を幸せにしろよ?!子供もたくさん作れ。そう思って広い家を建ててやったんだからな!」
「ああ、約束するよ、一松」
次の日。おそ松夫婦やカラ松夫婦に別れを告げ、トド子の背に乗った仲間たちは、まずはチョロ松とケイトが森エルフの城に戻り、十四松とポリアフが精霊族の街に戻った。
「一松兄さんたちは、どうするの?」
「さあな」