第21章 それぞれの道へ
「みんなのおかげです」
「して、ゼムアは見つかったか?」
「……それが……」
チョロ松はゼムアのことを話した。
「そうか……。だが誇りある最期だったわけだな」
「はい!」
「ところで十四松よ。あの弓はどうだ?」
「あい!見て下さい。僕は森エルフの勇者の弓を引けるようになりました」
そういって勇者の弓を引いて見せた。
「おお、見事!!」
「でもこれも、もう必要ありません。なので、お返しします」
「そうか…。あい分かった。これは城の宝として、保管しよう」
「あの、父上に紹介したい女性がいます」
「む?女性とな?」
チョロ松はケイトをそっと前に押し出した。
「彼女は元レッドアイ族、今やジュエルアイ族のケイトです。共に旅をしたカラ松の妹です」
「はじめまして」
「おお!これはまた美しい瞳の女性だな!」
「その、できれば彼女と、けけけけ結婚したいと思っておりまして、つきましてはその、かっ彼女をいずれは王妃にと…」
「異種族同志の結婚か。……………わっはっはっは!この世界が平和になった証拠でもあるな。よかろう、認める!」
「本当ですか?!やったあああああ!!」
「よかったな、ライジングシコースキー」
「ライジングシコースキーって誰だよ?!」
王は笑いながら手を叩くと、数人のメイドがやって来た。
「ケイトとやら。息子を頼むぞ」
「あの、こんな平民の私でいいんでしょうか?」
「はっはっは。心配することはない。私も助力する」
「ありがとうございます!」
かくしてチョロ松とケイトの結婚式が、華々しく挙げられた。
「わあ、ケイトちゃん綺麗!」
「よっ、自家発電三郎!!」
「だから誰だよ、それは!」
「チョロ松兄さん、がんばれー!」
「頑張ってるよ!」
「んっん!!汝チョロ松は、ゆくゆくは森エルフ次期王としてケイトを、生涯かけて愛することを誓うか?」
「ちちちちち誓いまっす!!」
「汝ケイトは、ゆくゆくは森エルフ次期王妃としてチョロ松を、生涯かけて愛することを誓うか?」
「誓います」
チョロ松は王に渡されたティアラをケイトの頭に載せた。
「僕も君をサポートするよ。一緒にこの森を統べるんだ」
「はい」
「おめでとう、ケイト」
「お兄ちゃん……。たまには遊びに来てね?」
「お前が寂しがらないようにしてやる」