第21章 それぞれの道へ
「あのことは誰よりも、兄が一番辛かったんです。何度自ら命を絶とうとしたか…」
周りのジュエルアイたちも賛同した。
「俺たちにも、死ぬ直前まで殴らせたりしたな。あれは俺たちも辛かった」
「ああ、自分が両親を死に至らしめたからって言ってな」
「だからその話は、もういいんです。お兄ちゃんも、もうしないでね?」
「……い、イグニッション!」
「……ごめんな、カラ松」
「いや、俺こそ」
「そう言えばお兄ちゃん」
「ん?どうした、ケイト?」
「結婚式、いつ挙げたの?私、お兄ちゃんの晴れ姿見てない!」
あわあわするカラ松。
「カラぴ、服だけでも着て見せてあげればいいんじゃないかな。あの服、持ってきてるし」
精霊族の街で式を挙げた時の服を、ちゃっかりもらってきていたのだ。
「そうだな。○○、お前も着ろよ?」
「○○さん…。ううん、お姉ちゃんのも見たい!」
「ケイトちゃん!」
カラ松が経営している宿で着替えるカラ松と○○。二人で結婚式と同じように腕を組んでみんなの前に出てきた。
わあっと歓声があがる。
「おめでとう、お兄ちゃん!お姉ちゃん、お兄ちゃんをよろしくお願いしますね」
「ということは、カラ松が僕の義理の兄になるかも知れないのか」
「おお、そうなるな!よろしくな、ブラザー」
「えーーー………」
「えっ」
「なあ、チョロ松。お前も挙げたら?」
「へっ?!ぼぼぼぼ僕は、その、ケイトちゃんと付き合うって言っただけでその……!!」
「私ももう少しチョロ松さんのこと、知りたい」
「じゃあおそ松の故郷に、一緒に行こう」
「うん、お兄ちゃん!」
そんなこんなでケイトも共にテリ・ドルークへ向かうこととなった。チョロ松と一緒にペガサスに乗って。
少し飛ぶと森が見えた。
「おそ松、城に寄って行ってくれ」
「オッケー」
森の手前で降り立ち、森エルフの城に向かう。チョロ松が一緒なのですぐに見つかった。
「ただいま!」
「ん?……ああっ!これは王子!よくぞご無事で!」
門兵が大声をあげる。
「王子のご帰還だ!!」
そして門を開いた。玉座へ行くと、チョロ松の父森エルフ王が待っていた。
「よくぞ戻った、チョロ松」
「父上、お久しぶりでございます!」
「すっかりたくましくなったな」