第20章 悲しい別れ
一松の後ろにいるトド子に目をやる長老。
「む、その娘は神が遣わし導き子か」
「はじめまして、トド子です」
「おうおう、かわいいのう。おや、そっちは森の守護者かの」
「トト子です。私の方がかわいいでしょ?」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃなぁ」
そしてカラ松に目を移す。
「おお、そなたは閉目の可視者。美しい目じゃな。美しすぎるがゆえに起こった惨劇、目を閉じるようになってから起こった惨劇。どちらも辛いものじゃったろう。じゃがその惨劇も、終わりじゃな」
「はい!みんなのおかげです!」
そう言って○○の肩を抱き寄せる。○○もまたカラ松の肩に頭を預けた。
長老は満足そうにうなずくと、
「一松や、すまんが耳掻きをしてくれんかの」
あぐらをかいて座る一松の膝に頭を預け、幸せそうに微笑み、深くため息をついた。
「………え…。おい……!おい!!」
異変を感じた一松が長老に声をかけるが、反応はない。一松に膝枕してもらって嬉しそうに微笑んだまま、眠るように息を引き取っていた。
「…………ばあちゃん!!うわぁあああああ!!」
その夜。長老の葬儀がしめやかに行われた。おそ松たちが悲しみに暮れる中、次の長老になった男が言った。
「長老は、自分が言い伝えが成されるまで生きると願ったことを、後悔されていた。友が、子が、孫が亡くなる度に悲しんでおられた。ようやく命を閉ざすことが出来たんだ。本望だろう」
「……ばあちゃん…。俺は二人もばあちゃんを亡くした。けど、今度は俺たちの子として生まれてきてくれ」
「一松。本当ならあなたがゴールドドラゴンになるはずだったんだよ。だからその願い、叶うかもね」
トド子がそっと寄り添って告げた。
「えっ?ゴールドドラゴン?俺が?」
「うん。だって、私を愛してくれてるでしょ?」
「ま、まあ…」
「ゴールドドラゴンの子を愛した者は、次のゴールドドラゴンになるんだよ」
「そうなのか」
「すごいな、一松!次の神はお前か!」
「本来はそうだったの。でも神のいらない世界を願ったでしょ?だからもう、神はいないんだよ。ストーグロックももうないわ」
「全部丸く収まる世界にしてくれたんだ、大丈夫!」
「おそ松…みんな。ありがとう」
「全く、シャイボーイだぜ」
「お前は死ね」
「えっ」