第20章 悲しい別れ
「お前、自慢していいよ?ま、俺のトト子にはかなわないけどねー」
「ジュエルアイの名の通り、宝石みたいな瞳だね」
「すっごくきれいな目だよ、カラ松兄さん」
カラ松は仲間たちを見て、辺りを見た。
「………!!この世界がこんなに鮮やかだったとは…!!美しいとはこのことか?!おお……!イッツア・ミラクル!!」
「もうレッドアイ…ううん、ジュエルアイ族の目が狙われることはないのよね?」
「そうだ。我らはここにたどり着いた者の願いを聞き入れ、叶えるために存在する」
「よかったな、クソ松。これでお前の妹も安心だろ」
カラ松はもう一度確かめるように、仲間たちの姿を見た。そして○○の姿を見る。○○は喜びの涙を流していた。その髪を撫で、口付ける。
仲間たちから贈られる暖かい拍手。
「お前たちが願ってくれたおかげで、このストーグロックもこの世界には必要なくなった」
「ねえ」
トド子がゴールドドラゴンに声をかけた。
「お父さんとお母さんは、愛し合ってるの?」
するとそれまで黙っていたシルバードラゴンが言った。
「もちろんよ」
「妻もお前と同じ、願いを持つ者を導く者だった。命を落とす可能性があるにも関わらず、凛としたその姿勢に胸を打たれたのだ。お前もそうであろう?心優しき残虐なる者よ」
「っ!その名前で呼ぶんじゃねぇ!ただ、トド子があまりに健気で…、ほっとけねぇんだよ」
「ツンデレラだねぇ、いちまっちゃーん」
「おそ松!調子乗ってると○すぞ!!」
「はっはっは。帰りは飛んで帰るとよい。すぐたどり着けるだろう」
「あんがとね、ゴールドドラゴン」
「礼を言うのはこちらの方だ。我らを呪縛から解き放ってくれた」
「ゴールドドラゴン、シルバードラゴン。あなた方の名前を教えてください」
チョロ松に2体のドラゴンは頷いた。
「我はバラジ」
「私はラクシャサ」
「ありがとうございました。バラジ、ラクシャサ。お二人もお元気で!」
仲間たちを乗せたおそ松は、その羽を広げて飛び立った。あんなに歩いた道のりが、嘘のようだ。ロック鳥の村にあっという間に着いた。
「おお、大いなる翼が帰ってきおった!」
降りるや一松は、長老を呼んだ。
「婆!!帰ってきてやったぞ!」
「ふぉふぉふぉ。新たなる光がこの世界に満ちるのを感じたわい」