第13章 泣き声の正体
「隠れてないで出てこい」
「あは!見つかっちゃった!」
「二人で行くとか、水くさいよ」
「………何もなかったら○すからな!」
「何だよ、お前ら。カラ松が心配なら心配って、言えばいいじゃん」
「ブラザー……!みんなで行こう!」
「「おう!」」
再び歩き出すカラ松の肩を掴まえるおそ松。
「なぁなぁ、カラ松。お前酒場で店主のこと、怖い顔で見てなかった?」
その言葉にカラ松の顔つきが変わる。
「あいつが他種族の者を、化け物と言ったからだ」
「ふーん。でも、相当なんじゃない?」
その声にバッと振り向き、言った一松の胸ぐらを掴んだ。
「何しやがる、クソま……!」
「もう一度言ってみろ………!」
「わ、悪かったよ、カラ松…」
一松から手を離したカラ松は、おそ松たちに言った。
「いいか、他種族の者を化け物と言ってみろ。たとえ仲間だろうと、許さないからな」
カラ松は本気で怒っていた。
「「すいませんっした!!」」
「分かればいいんだ」
泣き声のする方へ向かうカラ松の後ろから続くおそ松たち。
「……おっかねぇぇぇ。普段怒らない奴が怒ると、あんな怖いのな」
「○されるかと思った…」
「怒らせないでおこう。熱線で消される」
「確かに!」
進むにつれて、おそ松たちにもその泣き声が聞こえてきた。
「あ、これか」
「聞こえたか?」
「ああ、確かに泣き声だ」
「悲しそうに泣いてるね」
やがて洞窟にたどり着くと、泣き声がその奥から聞こえることがわかった。
「行くぞ」
「カラ松、タンマ!!」
「どうした?」
「宝石が落ちてるんだよ!」
洞窟の入り口には数個の宝石が転がっていた。しかもかなりの上物だ。
「お前も拾えよ、クソ松」
「宝石って、何だ?」
「きれいな石だよ、カラ松兄さん」
するとカラ松は、さらに首をかしげた。
「きれいって、何だ?さっぱりわからん。石は石だろ」
目を閉じて生活するレッドアイには理解できない言葉だった。
宝石拾いに躍起になるおそ松たちを尻目に先を急ぐカラ松。奥へ行くほど泣き声は大きくなる。
「かなり近いな」
カラ松は悲しげに泣く女性を思い浮かべていた。が。
「えっ」
その先は行き止まりだった。だが確かに泣き声は、ここから聞こえている。
「一体どこから……」