第1章 運命の歯車は廻り始める
ん…?追っている…?
と言う事は、さっき見た奇怪なアレを追っているのか?
えっ…なら彼女にはアレが見えているんだよね、そしたらきっと私と同じ視える体質なのかな、わぁ、仲間かな!?!?
そんな考えに行き着き、既に姿も形もない彼女を追う事にした。
だって同じ体質ならお友達になりたいもんね、うん。
暫く彼女が行ったであろう方向に走り続けたがーーーー
『あれ…何処に行っちゃったんだろ…』
やはり見失った人を探すのは骨が折れるらしく、見つからない。
けど諦めてたまるか!そう意気込んだ時、私の足元に暗い影が下りたのに気がついた。
なんだろう?そう思って上を見上げる。
「ちょっ、お前!そこどけっっ」
『えっ…?』
見上げた先にはさっき見た奇怪な赤い服の人物が上から落ちてきていた。
いや、どけって言われてももうぶつかりそうなので無理ーーーーー
『ひゃぁっ…!!!』
「ちっ…」
痛いーーーーくない…?
あれ、ぶつかった筈なのに痛くない。
条件反射で瞑ってしまった目を恐る恐る開けて状況確認をする。
「いててててっ…」
『わぉ』
思わず口に出してしまった。
だって目の前には彼のドアップがあったんだもん。
わー、綺麗な顔付きしてるなー、髪の毛白くてふさふさ……
『ん…???』
「はぁ?」
ふさふさの髪の毛の上にピョコっと動く動物の耳のようなものが…。
思わず手を伸ばしてーーーーー
触ってみた。
「っ…!?!?!」
わーっ、ふさふさっ、もふもふっ、むにむにだっ!
やばい、猫、いや、犬?んーっ、とにかくずっと触ってたい!
「ちょっ…い、いーかげんにっ…」
『ん?』
「やめろぉおっっー!!」
うわっ、凄い声量。
どうやら触られるのが嫌だったみたいだ、ごめんね。
とりあえず手を退かす。
けど逃げないなぁ、この妖怪?お化け?なんだろ、分かんないけども。
「つか、いい加減俺の上から退けっっ!!!!」