第1章 運命の歯車は廻り始める
小さい頃から妖やら幽霊やらよく分からないが、そういった普通の人には見えないモノが視えていた。
いつからだ、なんて覚えてない。
本当に物心つく前かららしくて、母が言うには何もない所に話かけたりしていた危ない子供だったようだ。
それからと言うもの、親の言付けでそう言ったちょっと変わっているモノを見た時は見て見ぬ振りをしろと教えられ、お守りだと言われ小さな宝石がついたシルバーのリングネックレスを渡された。
まぁ当たり前だよね、自分の子が世間一般から白い目で見られるなんて嫌だもん。
でも母も中学校に上がる前くらいまでは、そう言った類のモノが視えていたらしい。
話を聞くとどうやら私の御先祖様は陰陽師たるものを生業としていたらしく、私にもその血が流れているんだって。
安倍晴明みたいなそんな有名な陰陽師ではなかったらしいけど、それなりに力はあったみたい。
今はもう時代の流れなのかそういった仕事からは随分前に足を洗ったらしい。
その為私の内は神社とかではないのだ。
まぁ、昔から何かあった時の為にって護身術やら何やらやらされて育ったけどね。
一般家庭よりは裕福みたいだが、至って普通の家だった。
うんうん、普通が1番。
私の名前は皇 時雨。
17歳、花の女子高生ってやつです。
今日も平和に学業を終え、家路に着いているのですがーーーーー
あれはなんだ。
あの家の上をぴょんぴょんと飛び越える赤い服を着た人は。
思わず見入り、ポカーーーンとしていると
後ろから猛スピードで走ってくる女の子とぶつかった。
『っ…!!』
「あっ、ご、ごめんなさい!急いでてっ!!
怪我はない?!」
『大丈夫です』
実際軽く肩が当たっただけなので吹っ飛んだ訳でもないので平気だ。
それより制服着てるけど、この子も高校生かな。
「それなら良かった!ごめんね、急いでるから行くねっ!!
こらぁ待てっ、犬夜叉っっっ!!!!」
本当に急いでいるらしい。
息を切らしながらも、犬夜叉、と叫ぶ人物を追っているようだ。