第4章 理性
あれから何日経ったんだろう。
多分、3週間も会えてない。
敵同士で会えないのが普通なのに、彼に会えないのは何だか寂しい。
身体の熱さはまだ消えない。
自分でするのは恥ずかしいし、やり方が判らない。
1回少しだけやってみたけど、熱は治まらなかった。
自分の中で頼れそうなのは兄しかいない。
今日は兄さんも家に帰って来るはず。
その時話せばいいか、と考えた。
仕事を終わらせて、自宅へと帰る。
私の方が先に帰り着き、兄の帰りを待つ。
とても緊張している。
私はリビングで待っている。
ドアの開いた音がして、足音が近づく。
「なんだ。帰っていたのか」
「は、はい。お帰りなさい…」
顔が赤いのと不自然なのがバレないように、話を変える。
「ね、姉さんは」
「今日は帰って来れなさそうだと」
「そう、ですか...」
私の方、見られてる?
兄さんの黒い瞳が此方を見ている。
「な、何」
「顔が赤いが、まだ治ってないのか」
「あ、あぁ、うん…」
それから兄からは何も聞かれなかった。
「あ、あのっ、その事なんだけど、熱じゃないみたいなの」
「...そうか。なら、何かの病気か?」
兄さんはそう言って聞いてくる。